新築工事の約8割で
構造部分に不具合が発生
最近、住まいの耐震性能、耐震等級にフォーカスを当てた「地震に強い家」「震度7に●回耐えられる家」というフレーズを聞く機会が増えたように思う。
周知の通り、日本は災害大国だ。今年の元日に発生した能登半島地震では最大震度7を記録。多くの建物が倒壊、地域に深刻な被害をもたらした。ニュース映像などから伝わる被害状況に心を痛め、あらためて自然の力の大きさに思い至った方も多いだろう。2016年の熊本地震でも震度7を観測し、多数の木造住宅が倒壊している。耐震性能、耐震等級に注目が集まるのも、震災への備えとして「住まい」を強くしておく重要性が再認識されたためだといえる。
耐震等級とは、地震に対して建物がどれだけ耐え得るか(耐震性)を示す基準だ。その強さによって1~3のレベルに区分されている。「強い家」を建てる際、設計時の性能を最大レベルの耐震等級3まで上げ、高いレベルの等級を取得しておくに越したことはない。ただし、あくまで高いレベルを満たす設計通り、図面通りに建てられた家でこそ成り立つ話である。
しかしながら、耐震性の影響が大きい構造部分においても、高い確率で施工不良が生じているのが現状だ。構造部分とは住宅の骨組みを意味し、柱や梁、耐力壁などの、いわゆる家づくりの土台ともいえる箇所である。実際、熊本地震においては、2000年に改正された現行の建築基準法で建てられた木造住宅の倒壊事例があった。これは何らかの理由により、基準に満たない部材が取り付けられていた可能性があるケースとして公表されているものだ。
さくら事務所では、新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスを通じ、工事中の新築注文住宅や建築条件付き住宅などの新築工事現場のチェックを実施している。そのうち構造検査のデータを見てみると、2023年の1年間、不具合発生指摘率は78.42%。およそ8割近くの現場において、耐震性に大きく影響する構造部分における何らかの不具合が発生していることになる。
一体どのような不具合が発生しているのだろうか。