フレディ・マーキュリー(クイーン)と世界的なオペラ歌手モンセラ・カバリエ(ソプラノ)のアルバム「BARCELONA」が発売されたのは1988年10月、フレディはロックを離れてクラシックへ乗り出していた。一方、本田美奈子さんは女性8人のロックバンド、Minako With Wild Catsを結成し、アルバム制作とライブ・ツアーに出る。

かっちりしたクラシック・スタイルの音像へ変化

「BARCELONA」2012年盤(4枚組)のジャケット(ユニバーサル、2012)

 87年から88年にかけて、フレディ・マーキュリー(1946-91)とモンセラ・カバリエ(1933-)は断続的に録音を続け、あるいはそれぞれ別々に録音してトラックダウンするという作業を繰り返し、1年以上の時間をかけて88年10月、アルバム「BARCELONA」を発売した。

 四半世紀前のCDで、もちろん現在は廃盤だが、なんと2012年10月24日、「スペシャル・エディション」が発売された。発売元は英国Island(Universal)、日本盤はユニバーサルのUSMジャパン・レーベルである。

 何が「スペシャル」なのかというと、伴奏を本物のオーケストラに入れ替え、音質を一新しているからである。

 4枚組(CD3枚、DVD1枚)セットで、①はオーケストラ伴奏の新盤、②「アウトテイク」を9本、③記録映画とライブを収録したDVD、④オーケストラだけのディスク、以上の4枚である。①だけのCDアルバムも別売されている。

 88年盤では全8曲だったが、2012年オーケストラ伴奏盤は9曲(さらにボーナス・トラック1曲)収録されている。88年盤伴奏の大半はシンセサイザーでつくられており、クラシック風というにはいささか電子音の響きと楽器の定位がフラフラしているのが気になったが、この新盤は完全に3管80人編成の大オーケストラがきっちり演奏しており、写真を見るとオケは全員そろって一発で録音している。したがって88年盤より、はるかにクラシックの色合いが濃くなっている、

「BARCELONA」2012年盤の構成と内容

①BARCELONA(フレディ・マーキュリー作詞作曲)……フレディとカバリエが出会った「バルセロナ讃歌」といった歌詞。雄大な旋律、大げさなやりとり、金管楽器とティンパニの派手なアタックに弦の豊かなアンサンブル。ヴェルディのようなスタイルだが、曲想はポップス。フレディは地声でカバリエのソプラノの音程の上へ行ったりオクターブ下がったり、自在に上下する。カバリエは低音から高音まで美しいビブラートでフレディの激しい声を包む。

 震えるほど感動的で戦慄するデュエットだ。主調は変ホ長調(E♭)。88年盤でもこの曲だけはヴァイオリン2、チェロ1、ホルン1、ティンパニ1の奏者が入っている、あとはシンセサイザーだったが、新盤でフル・オーケストラに。「BAECELONA」は1992年バルセロナ・オリンピックのテーマ音楽に選ばれ、開会式でデュエットすることに決まっていた。