ちなみに、高齢者の毎月の支出の合計は、60代前半は31万1453円、後半は30万1705円です。年を取るほど、次第に数万円ずつ減少していき、70代前半は27万2657円、後半は24万5107円、そして80代前半は22万4648円に減ります。つまり、80代は20万円あまりで生活できています。ということは、年齢にもよりますが、年金や個人年金などを合わせて15万円受け取れるとすると、月5万~10万円のアルバイトをすれば支出は賄えることになります。

 いかがでしょうか。老後の生活設計をきちんと行うのが重要であることは言うまでもありませんが、過度に不安を抱き、身を縮めた生活をする必要はないということがおわかりでしょう。

人生の「幸福度」が最も高いのは
年収400万~600万円の層という現実

 付け加えると、実は幸福度が高い層はそれほどお金があるわけではなく、「ほどほどのお金持ち」の層です。「幸福度が最も高いのは400万円から600万円の年収の層」という調査結果があります(ネクストレベル2023年調査)。

 一方、NRI『日本人の生活に関するアンケート調査」(2023)』では、幸福度は「家族」「仕事」「地域住民」「消費者」としての4側面の影響を受けるといい、推し活や旅行などの「消費」も幸福度に影響を与えていることがわかります。幸福度10点満点のうち9点以上の割合は、50代は10.9%、60代は12.8%、70代は18%と上がっています。60代以降になると消費内容や方法で幸福度が上がっているのです。

 つまり、お金を貯めるばかりでなく、何を買うか、何に使うかで幸福度も変わってくるのです。