将来のために年金の仕組みをきちんと知っておきたいと考える人は少なくないが、全体像を一から勉強しようとするのはおすすめしない。大事なのは自分のケースなので、「ねんきん定期便」で十分だ。今回はねんきん定期便のチェックポイントと、みなさん気になる「年金額の増やし方」を解説する。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
複雑で難しい年金制度
「ねんきん定期便」が分かれば十分!
7月3日、5年に1度の「年金の財政検証」の結果が報告された。これは公的年金の定期健康診断に当たるものと言われている。この原稿は結果発表の前に執筆しはじめているため、残念ながら結果を受けて速報的な解説はできない。それでもこの数日は「年金」のニュースが増え、みなさんの関心が高まると思われるので、今回は私も「年金」をテーマに書くことにする。
真面目な人ほど、年金を知るには「まずは勉強しなくては」と考え、セミナーやマネー相談の際に「どんな本がお勧めですか」と聞かれることも多々ある。しかし、専門家でない限り、年金制度を一から勉強する必要はないと答えている。
なぜなら、年金制度は難しいからだ。
改正につぐ改正で経過措置が多いため複雑。さらに、自分に関係ない部分も多い。年金を勉強するために書籍を買ったとしても、第1章でギブアップするだろう。なぜなら、書籍の多くは、第1章で「年金制度の全体像」を解説しているからだ。初めて目にする言葉のオンパレードの文章を読み進めるのはつらい作業になってしまう。
なので私は、一般の方向けのセミナーなどで「最初に知るべきは、全体像ではなく“自分のケース”」と話している。
「自分のケース」とは、自分が将来、受け取れる年金の見込み額。それを知るには、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を見るのが手っ取り早い。必要最低限の情報しか載っていないのだが、正しく読めている人は少ない。
今回は、「必要最低限のねんきん定期便の読み解きポイント」と、「自分できる年金額の増やし方」をお伝えしよう。