物流大戦#3Photo:Diamond

AZ-COM丸和ホールディングスの買収攻勢を受けたC&Fロジホールディングス。そのC&Fをホワイトナイト(白馬の騎士)として救ったのがSGホールディングスだ。だが、その買収には“高値つかみ”の疑念が付きまとう。一方、争奪戦でいまだに戦果を上げられていないヤマトホールディングス。「動かぬ王者」の視線は一体どこに向いているのか。特集『物流大戦』の#3は、SGとヤマトの狙いを明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

佐川のC&F巨額買収の真相は?
「物流の王者」ヤマトもM&Aに動く!

 C&Fロジホールディングスは2015年、名糖運輸とヒューテックノオリンが経営統合して設立された中堅物流会社だ。両社が得意とする温度帯の頭文字、「チルド(冷蔵)」と「フローズン(冷凍)」の頭文字が社名の由来である。

 そのC&Fが今年上半期、東京証券取引所のプライム上場企業で最も値上がりした銘柄となったのは、同業同士によるTOB(株式公開買い付け)合戦で高額のプレミアムが付いたからに他ならない。年初に1400円台だった株価は、3月にAZ-COM丸和ホールディングスがTOBを表明し、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが5月に対抗TOBを表明したことで、5700円台まで高騰した。

 最終的にC&Fを勝ち取ったSGは、1200億円もの巨費を投じたことになる。財閥系の倉庫会社なども参戦した激しい争奪戦の末の買収とはいえ、「明らかに高値つかみだ」(業界関係者)との疑念が付きまとう。

 一方、いまだ買収戦で戦果を上げられていないのが、SGのライバルであるヤマトホールディングスだ。だがヤマトも、ただ指をくわえて戦況を静観しているわけではない。

 SGとヤマト。業界を代表する「物流の王者」は、この再編時代にどのような手を打とうとしているのか。両社の経営幹部に直撃取材し、その内実を次ページで明らかにする。