“スーパー利己的”が、「辞め方改革」をもたらす

 “スーパー利己的”に、「自分は○○を成し遂げたい!」「この会社で成功したい!」という思いで仕事に向き合っていけば、結果的に、会社を退職することになっても、“良いアルムナイ”になるのではないか? 退職する側である個人の「辞め方」と、退職される側である企業の「辞められ方」をポジティブなものに変えていく――それを鈴木さんは「辞め方改革(*5)」と名付けて提唱しているが、“スーパー利己的”であることは、「辞め方改革」につながるようだ。

*5 「HRオンライン」の鈴木さん執筆記事:内定辞退者や早期退職者に対する“負の感情”が減る「辞め方改革」とは?参照

鈴木 「会社のために」といった姿勢だけだと、退職するときに他責になりやすいですし、他責にしなかったとしても、アルムナイとして、辞めた会社と良い付き合いはできないでしょう。「会社のため」という思いが強過ぎるが故に、「会社がそれに報いてくれなかった」などという気持ちからネガティブな感情での退職につながることが多いからです。もったいないことです。辞めた会社と上手に付き合っているアルムナイに、“スーパー利己的”であるが故に、「自分自身の○○というゴールのために辞めた」という転職理由が多いのはその裏返しです。ただし、辞める前も辞めた後も、自分のためにも周囲への影響や迷惑を考慮する。結果、アルムナイとして、辞めた会社に何かを還元することができている。そうした方の話を聞くと、「ビジネスパーソンが “スーパー利己的”であることは、会社や組織にとってもプラス」だと、改めて思います。

「フレッシャーズ・コース2025」の寄稿文を、鈴木さんは次のような言葉で締めて、2025年3月卒業の新入社員たちにエールを送っている。

 皆さんが「スーパー利己的」になり、自分自身の人生の目的達成のために会社や同僚を味方につけて最大限「活用」し、会社や同僚も各々の目的のために皆さんを最大限「活用」している──そんな関係を築き、自分らしいキャリアという轍を残していく皆さんに、私はいつかお会いしたいです。

 アルムナイと“スーパー利己的”な新入社員の出会いが、VUCAの時代を駆け抜ける企業に欠かせないものになりそうだ。