「電気代がもったいない感覚の人」こそ、実は損をしている

 そこで、GOODの伝え方では、「エアコンを使わなければ大損をする」と伝えました。これは相手の信条を直接否定することを避ける表現です。

 人は得よりも損を嫌います。節約により得をするのではなく、「かえって大損するという価値観の転換」を促すわけです。

 命を失ったら元も子もないわけですが、熱中症になって搬送され1泊2日程度の軽度入院で済んだとしても医療処置や入院費で平均6万~10万円の出費です。

 一方、エアコンを1ヵ月つけっぱなしにしても、電気代の増加は平均6000~9000円と言われています。熱中症にかかるリスクと合わせて、エアコン不使用のメリットを具体的な金額に引き直せば、比較にすらならないのは一目瞭然です。

 熱中症は命の直結しますから、皆さんの心配はもっともです。であれば実際に高齢の親自身に自らの意思でエアコンを使用してもらいたいですよね。

 その場合、親を守りたいという気持ちを、注意を促す言葉で伝えるのではなく、親の信条を認めつつ価値観をズラすように伝えたほうが、すんなりと受け入れてもらいやすくなります。NGにある「なんで?」という言葉は驚くほど高齢の親には届きません。もしくは親は「責められている」と感じてしまいます。これを言ってしまうと喧嘩になる確率は跳ね上がります。皆さんは心配していったのにもかかわらず、こうなってしまっては意味がないですよね。頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。