高市自民圧勝でも「日本売り」って本気ですか?米AI株からシフトする“投機マネー”受け皿で相場を読み解くPhoto:PIXTA

ここ半年、米AI株という巨大な中核市場の迷走に投資家は戸惑い、投機マネーは別の活路を模索して世界を駆け巡っている。ドル軟化で活性化する金や銀、新興国の相場は盛り上がり、波乱も発生した。実は、日経平均株価上昇も、日本国債や円売りとその反発も、グローバル投機のリンクで捉えられる。理詰めのリスクテイカーを欠く国内論調は、「日本売り」などと見当違いばかり。投機の眼で見通す相場の活路を示してみたい。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

選挙後の円高、債券高で消えた
「日本売り」論の筋違い

 2月8日投開票の衆議院選挙で、高市自民が歴史的な大勝利を収めた。市場では専門家もメディアも事前に、高市自民圧勝なら、積極財政による赤字拡大が懸念され、日本国債が売られ、円が売られ、「日本売り」になるという予想ばかりが目立った。

 日本では、直近の相場の上げ下げを追認して、楽観論や悲観論を膨らませる論調がお定まりになっている。まして選挙に関する予測分析は、選挙自体の勝ち負け、各党を率いる党首の属人的な評価ばかりをクローズアップする。その結果、本来見るべき選挙以外の要因を欠落させてしまう。

 高市自民が選挙で圧勝すると、実際には、日本国債も円も買われ、相場は上昇した。すると今度は、高市自民は政権基盤が強固になり、長期政権化するため、野党の減税ポピュリズムに迎合する必要はなくなり、日本への信頼が回復したなどと言い出す。これも国債高、円高の相場を追認するだけの論調であり、「日本売り」の話はいったん消えている。

 筆者は、衆院選前に公表した当ダイヤモンド・オンライン稿において、「日本売り」論がいかに筋違いかを指摘した(『日本の財政破綻、国債急落、円安…衆院選公約で浮上したおなじみの「日本売り」悲観論を正す』参照)。結果論として予想の当たり外れを、今になって語ろうという話ではない。相場は皆が信じるように動く「自己実現」現象がある。このため、「日本売り」を信じる多数が相場を動かすこともある。

 しかし、筆者流には、筋違い論の相場には原則として乗らないし、見当はずれな論点には物申しておきたい性分でもある。筋違い論調ばかりまかり通れば、国内にロジカルなリスクテイカーは育たないし、政策論ですら誤ることになりかねない。

 次ページでは、投機のグローバル目線から円売り、日本国債売り、金、銀の上昇、非米国株の上昇を検証していく。