「どんどん出世していくビジネスパーソンがこっそり身につけている理論がある」
そんな声が止まらないのは、これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法の「識学」だ。その代表を務める安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作は、「会社員人生が180度、変わった!」「本音ばかりが書いてある!」と話題になっている。部下の育成や日々の管理業務などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のビジネススキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「権利を行使する」人たち
会社や組織において、人が権力を持つことは、別に悪いことではありません。
権力とは、権利を持つことが許された人が、それを正しく行使するということですから、その立場に応じた権限は必ず持って当たり前です。
ただし、「いい権利」と「悪い権利」を分けて考えなくてはいけません。
ここでいう、「悪い権利」とは何でしょうか。
それは、「文章として明確になっていない曖昧な権利」のことを指します。
よく、「既得権益」という言葉が使われます。
「いちばん先輩であるAさんに話を通さないといけない」
「本当は全員が前もって納得しておかないといけない」
など、明文化されていない裏のルールが、あなたの会社にもあるのではないでしょうか。
悪い権利を無くしていこう
権利を持っていないのに、持っているように振る舞う。
そんな影の実力者が、どんな職場にもいます。
これがもっともトラブルを生む原因といって過言ではありません。
これは、ある小さなIT企業で起こった問題です。
そこでは、新入社員が自分の仕事を覚え、上司への確認をとり、新しい顧客を獲得してきました。
すると、「そんなの聞いてない」と、ベテラン社員から不満が出たそうです。
「上司には了承を得ました」
「いや、その業界の顧客は私が前に担当してきた。だから話を通さないと」
「そんなこと、どこにも書いてないですよね?」
「書かなくても、それくらい雰囲気でわかるでしょ?」
こうしたやりとりが多発し、その新人は、早々に会社を去りました。
これに似た例は、会社組織で数多く発生しているはずです。
こうした「悪い権利」の行使は、リーダーや上司が無くしていかなければいけません。
先ほどの例で言うと、「新入社員を守る」ということです。
ベテラン社員に対して、その直属の上司が、「勝手に口出しすることは、やめてください」と注意しないといけない。
そんな組織でなければ、生き残っていけないのです。
新入社員や中途社員に、上司から自分の言葉で説明する責任があります。
上司が「悪い権利」を潰さないといけません。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年9月現在、約4400社の導入実績がある。主な著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。