「リベラルな普遍主義」か「米国中心主義」か、世界の政治を左右する米大統領選の思想的争点Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

ハリス氏指名、高揚感に包まれた民主党大会
「リベラルVS反リベラル」の構図に

 テレビ討論会で高齢不安が露呈したバイデン大統領が撤退を表明した米大統領選は、ハリス副大統領が民主党候補となり、共和党のトランプ前大統領との一騎打ちになった。

 ハリス氏は、黒人女性、アジア系として初めての大統領を目指すが、ハリス氏が大統領候補の指名を受諾した民主党全国大会は、テレビ討論会に続き銃撃事件も追い風にしたトランプ氏に対する劣勢から沈滞していた約2カ月前とは一転、熱狂と高揚感が覆うことになった。

 直近の世論調査ではハリス氏が支持率でトランプ氏を上回る結果も出ているが、形勢が逆転しただけでなく、二人の高齢の大統領経験者のどちらがましかにだけ関心が向かいがちだった選挙戦に、米国第一を掲げ移民流入規制などで白人労働者層のナショナリズムに訴えるトランプ流の保守主義との対比もあって、「リベラルVS反リベラル」という米大統領選らしい思想的対決の構図が浮上してきた。

 大統領選の結果は、米国だけでなく今後の政治や思想的潮流にも影響を及ぼしそうだ。