全世界1000万人が読んだベストセラー『ザ・ゴール』。1984年に米国で初版が出版されてから40年経つ今もなお、ビジネスの世界を生き抜くための必読書として多くの経営者・ビジネスパーソン・新社会人に読み継がれている。
イスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士によって書かれたこの伝説のビジネス書は、Amazon創業者のジェフ・ベゾスも経営陣とともに読み、ビジネスのヒントを得たという。2001年に日本でも出版されてからは、ノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥教授やジャパネットたかた創業者の髙田明氏など、トップクラスの知識人・経営者らが絶賛し、座右の書としてきた。
ゴールドラット博士は2011年に逝去したが、最後の著作『ザ・クリスタルボール』がこのたび新装され、『「ザ・ゴール」シリーズ 在庫管理の魔術』として出版された。
売れ残るリスクを抱えてまで在庫を持つべきか、それとも売り逃すリスクがあっても在庫を減らすべきか。同書は、この永遠のジレンマをテーマに、「ザ・ゴール」シリーズで唯一「在庫管理」の真髄を解き明かしたバイブル。
同書の出版を記念して、シリーズの原点となる『ザ・ゴール』のエッセンスをよりわかりやすく漫画化した『ザ・ゴール コミック版』(岸良裕司/監修、青木健生/脚色、蒼田山/漫画)の一部を抜粋して紹介する。(初出:2021年11月12日)
「ボトルネックの発見」からはじめる生産性向上の鎖
最終章で覚えてほしいことはただひとつ、「ボトルネックの発見」から業務の課題解決ははじまるということだ。
1章から7章までで解説してきたことはすべてが鎖のようにつながったプロセスであり、どこかだけではなくどれも重要であるということを忘れないでほしい。
そのプロセスは5つのステップでできている。
ステップ1
制約を見つける
組織のなかで遅れや弱点となっている部分(ボトルネック)を見つける。
ステップ2
ボトルネックをどうしたら改善できるのか決める
組織内の役割を変える、役割を分担するなど、どうしたらボトルネックを解消できるか決める。
ステップ3
ほかの業務すべてをステップ2の決定に従わせる
第5章で解説したようにボトルネックは組織に対して大きな影響力を持つ。ボトルネックを改善するために全体のペースを合わせる。エース社員がどんなに頑張っても組織はボトルネックに左右されるので注意。
ステップ4
ボトルネックの能力を高める
全体がボトルネックのペースに合うようになったところで、ボトルネックそのものの能力を高める。最初からボトルネック改善を狙うのではなくステップ3のあとに実践することで無理のない持続的な成長が見込める。
ステップ5
全体の生産性が向上したらステップ1に戻る
問題がなければいいが、より良い組織、よりいい仕事をするためには何度もこのステップを行うことが重要だ。
上記の5つのステップが組織の生産性を高めるプロセスだ。
『ザ・ゴールコミック版』のなかでは工場を舞台に物語が進んだが、これはどんな組織でも取り入れることのできるプロセスだ。
会社や仕事に少しでも悩みを抱えている人はぜひ実践してみてほしい。