「いやいや、僕はずっと祈ってました。いい曲が降りてきますように、って」

 確かに、あいつを見ると、椅子の上で座禅組んでるようで、「お寺の息子」という最終兵器を出しながらの言い訳に、俺らも大爆笑(笑)。スタジオのピリピリした空気をパッとやわらかくしてくれた。これもケミカルの重要な役割だったんだね(笑)。

 ソロでの楽曲制作はある意味、新鮮だった。特に作詞に関しては「歩み寄る」作業がなくなって、本当に自分の思うがままに作詞できるから。もちろん、書き上げたあとでディレクターさんとかスタッフさんからの意見も聞くんだけど。書き始めが、自分の心のままに書けるってことが俺にはすごく良かった。自由で、面白かった。

 ただやっぱり、どこかで間違えてしまうかも……って怖さもあった。モン吉にチェックしてもらって意見を聞いて直すという「歩み寄る」という作業には、間違いやわかりにくさを指摘してくれる部分もあったりするので。

 本当にこれでいいのかなって迷ったときに、モン吉がいないから誰にも確認のしようがない。結局、自分で全部決めていかなきゃいけないんだとわかって、面白さと難しさの半々、という感じだった。