そのときの俺を救ってくれたのが、プロレスと音楽だったんだ。

 肉体的な面で助けてくれたのが、プロレス。「プロレスラーみたいに強くなれば、いじめられることはなくなるんだ」って思って、腕立て伏せとか筋トレを始めた。

 気持ちの面は、音楽にすごく救われていた。毎日いじめられて「すべてを投げ出して、消えていなくなりたい」とか、今じゃ考えられないけど、自殺なんてことも少しだけ頭の中をよぎった。

「俺が死ねば、あいつ、困るかな」って。

 どうすれば、いじめてくるあいつを困らせることができるかって考えて、「死」が浮かぶぐらいまで追い詰められて、そのときに俺を救ってくれたのが音楽だった。

 夜中にラジカセで聴くTHE BLUE HEARTSさんとか長渕剛さん。あとは中島みゆきさんも聴いていたかな。

 一番聴いて、涙したのは長渕剛さんの「STAY DREAM」。歌詞の冒頭の「死んじまいたい、ほどの!」って。あんな始まりの曲ってほかになかったし、当時の自分の心情とすごくリンクしていた。

 子供のころのいじめは親にも言えなかったし、思春期というのもあって、他人に相談して「自分がいじめられてること」がバレるのも嫌だった。学校で毎日顔を合わせるから逃げ場がないし、本当に心が壊れそうになる。

自分の歌の中には
少年の頃の自分がいる

 そんな心を救ってくれたのが音楽だった。そんな原体験があるから、自分の中で音楽は「聴く人の心を救い、応援するもの」でありたいという思いがある。