その日の夜。B子からの電話で、自分の訴えがもとで職場内が大騒ぎであることを知ったA子は、職場復帰しても居づらいだろうと考え、E部長宛てに退職届を郵送した。

 A子や過去の新入社員の個人情報を勝手に流していたD所長の処遇については、改めて本社で検討するとし、埼玉と千葉の営業所にもE部長自らが出向き、改めて個人情報保護に関する研修とメンバーとの個人面談による実態調査を行うことになった。

退職後、元同僚にバッタリ会って……

 8月下旬。アパートを引き払い実家に戻ったA子は、自宅の前を通りががったB子と偶然出くわした。

「B子さん、お久しぶりです。ところで営業所の皆さんはお元気ですか?」

「D所長とCさん、会社を辞めちゃったのよ。D所長は履歴書コピーの件で人事にお叱りを受けて、本社の主任に戻されたのが原因ね」

「じゃあCさんは?」

「あなたのアパートに押しかけたことがみんなにバレちゃって、ストーカー呼ばわりされたことで会社に居づらくなったみたい」

 B子が去った後、A子は深いため息をついた。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。