仕事も大事だが、休日は趣味やサークル活動に時間を使いたい。残業や休日出勤が多すぎるのは困る、と考えて4月に転職したA。夏休みは仲間と札幌でスープカレーを食べ歩きするつもりが、会社から「今年の夏休みはない」と言われてしまった。他の社員は5日間の休みがあるのに、自分だけ夏休みがないなんておかしいのでは?憤慨するAに対し、総務部長や社労士の見解は?(社会保険労務士 木村政美)
都内にある精密機械の卸売販売会社。従業員数は100名で、全員週40時間勤務の正社員。
<登場人物>
A:今年4月に中途入社した25歳。営業課所属
B:営業課長でAの上司。35歳
C:総務部長。甲社社長の甥で、人事・総務部門の責任者。45歳
D:甲社の顧問社労士
休みの日は趣味に充てたい!残業が多すぎる会社から転職
大学1年の時、たまたま入った店で食べたバターチキンカレーのおいしさに感激し、自分でカレー料理を作ることと食べ歩きにはまったA。その様子をブログに書き、半年後には有志とサークルを結成。月2回集まり、おいしいと評判の店に出向いては、カレー談議に花を咲かせていた。
大学卒業後は都内のIT系企業で営業職に就いたが、入社2年目からは、担当する顧客が増えたために、毎日3時間残業し、週末は展示会などのイベントに駆り出された。多忙でブログの更新やサークル活動をすることができなくなったAは不満がたまり、ついに今年3月末で会社を退職し、甲社の営業マンになった。甲社での仕事はルート営業が主で、週に1日、会議への参加で1時間程度の残業はあるものの、週末と祝日は確実に休めるのでカレー活動を再開。8月下旬に4泊5日の「札幌スープカレー食べ歩きの旅」を企画し、参加者6名分の飛行機と宿の予約を終えたばかりだった。
6月下旬。B課長は課内朝礼で、「もうすぐ夏休みのシーズンです。今年も例年と同じく、皆さんには7月から9月までの3カ月間で、公休日を除く合計5日の夏休みを取ってもらいます。すでに予定が決まっている人は早めに申し出て下さい」とメンバー全員に話した。
朝礼終了後、Aは早速B課長に「8月26日から30日までの5日間、夏休みを下さい」と申し出た。しかしB課長は残念そうな表情で、「残念だけど、君には夏休みがないんだよ」と答えた。