「親子」のコミュニケーションは特殊

 オギャーと産声を上げた子どもの世話をするのは、親の役目です。そして、手塩にかけて育てた子どもが自立し、親である自分が年老いていくと、今度は、子どもが親の面倒をみることになります。

 しかし、自分の考えや意志がある大人同士ですから、そこには意見の衝突が起こります。ちょっとしたコミュニケーションの行き違いやボタンのかけ違いで、ギクシャクしてしまうことは少なくありません。

「親子だからなにを言ってもいいだろう」と思い、遠慮もなく「言いたい放題」になりがちですが、ここに、親子のコミュニケーションならではの落とし穴があります。濃密で深い人間関係にあるのが親子だからこそ、お互いが気持ちよく過ごせるようなコミュニケーション術を身につけておくことが大切なのです。

 実は、かくいう私も、親との関係をこじらせて“大失敗”した経験があります。そのときの出来ごとを少しお話ししたいと思います。