驚愕したのは52棟全部が違法建築物件であったこと。ファンドビジネスを始めてから4年の間、米国のコンプライアンスにのっとり、デューデリジェンスをやり、違法物件には投資していなかった(もしくは違法部分があっても修復できることを確認して買っていた)。それが今回は全部が違法だ。

 一方では、うまく立ち回ればものすごく儲かりそうな「金の匂いがぷんぷん」する案件。当時東京と大阪では不動産の商慣行はものすごく違った。東京には違法物件はそれほど多くないが、大阪にはものすごい量がある。地元の不動産会社何社かに「違法物件でも売買されるのですか?流動性はどれくらいありますか?」などとヒアリングして回った。

 その結果、違法の程度によっては融資する金融機関がいくつかあることがわかった。例えば、容積率が法定の20%オーバーまでの違法物件なら融資可能、など。東京ではあり得ない商習慣なので非常に興味がわく。

 ハード面はそんな感じだが、ソフト面――入居テナントも通常のデューデリジェンスでは引っかかる連中がたくさんいた。