当選までの長い道のり
全国行脚で得た手応え

 なぜ名前ではなく「本人」というたすきをかけていたかというと、たすきに自分の名前を入れたり、道行く人々に「清き1票を!」「投票してください」と言えるのは、法律で定められた選挙運動期間だけだからです。もし選挙運動期間外にこれらの言動をしてしまうと、公職選挙法違反となる可能性があり、罰金が課され、また、選挙権と被選挙権が停止になってしまいます。

 さらに細かいことを言えば、選挙期間外は有権者から「投票します」と言われて、「ありがとうございます!」と返すのも、違反になる可能性があります。非常に厳しいルールですが、公平な選挙活動のための必要なルールなのです。私は候補者のなかでも注目度が高いほうだったので、発言には細心の注意を払いました。

 私が演説の場所として主に選んだのは、全国に支店を持つ某大手アニメショップの近くの公道でした。なぜなら、単行本や作品のグッズを扱っているアニメショップの近くなら、私のことに興味を持ってくれるファンが集まりやすいと考えたからです。実際、多くのファンとコミュニケーションを取れましたし、SNSでの拡散などの援護射撃もありがたかったですね。

 さて、ここまで見ていただいた通り、選挙当日まではとても忙しい日が続きます。幸い体力はあるほうですし、「デスマーチ」とも言われる週刊連載マンガ家生活を30年近く続けてきたこともあり、バテたり体調を崩したりすることはありませんでしたが、それでも人生の中で最も長く激しい半年であったことは間違いありません。

 最後までやり遂げたおかげか、7月10日の開票日には全政党の比例候補者中トップの52万票以上を獲得して当選を果たすことができました。得票数が多いということは、それだけ国民からの信頼も厚く、党内や政界での影響力にもつながりますのでうれしい結果でした。つまり、自民党からしたら私は、意見を丸々無視はしにくい存在と言えるということです。表現の自由を守るという観点からもベストだったと思っています。