クリエイターの自由な創作を
守る活動の中で山田太郎議員と会う

 また、2012年には、出版社への著作隣接権付与を阻止する活動に参加しました。著作隣接権とは、「著作者以外に、作品の発表に貢献した人(例えば音楽の場合、歌手や演奏家など)に認められる権利」のことを指します。演奏家や、レコード会社など原盤(マスター音源)を作った人、またテレビやラジオなどの放送事業者には認められており、当時の政府はそれを出版社にも認めることを検討していました。

 しかし、内容をよく調べてみると、世界で出版社に著作隣接権を与えた国は見当たりません。海賊版マンガを訴える手続きが楽になるなどのメリットもありましたが、総合的に考えて、マンガ家たちにメリットがあるものとは思えませんでした。

 そのときは森川ジョージ先生(『はじめの一歩』などの作者)と一緒に講談社の重役の方々と意見交換したり、2010年の東京都の表現規制のとき以上にマスコミ各社を巻き込んで問題提起に力を入れたりしました。

 ちなみにその当時、文化庁の方から「赤松先生が個人で活動していると連絡が取りにくいので、どこかの団体に入ってもらえませんか」と言われたことがきっかけで公益社団法人日本漫画家協会に加入し、いまは協会の常務理事も務めています。

 それ以来、事実上の「マンガ家代表」として、児童ポルノ禁止法から被害者の実在しない創作物を除外させる活動や、クリエイターの活力を奪う「海賊版問題」、スクリーンショットを保存しただけで違法となりうる「静止画ダウンロード違法化問題」など、さまざまな問題に対処してきました。のちに表現の自由を守る活動や選挙でお世話になる山田太郎議員と出会ったのも、この頃の活動がきっかけです。

当事者への意見聴取もなく平気で
法案を通そうとする政府を危惧

 マンガ家代表として、表現の自由を守る活動に励むなか、山田議員から「ロビイング(政府との交渉や陳情)するよりも、赤松さん自身が政治家になったほうが早くて確実だよ」と出馬のオファーを受けたこともあります。しかし当時は『UQ HOLDER!』の連載中で、自分が議員になることが想像できず、断ってしまいました。