“セダン復権”目指すも
夢破れたトヨタ「マークX」

「もっと売れると思った」というよりも、売れてほしかったモデルのひとつが、2019年12月をもって生産終了となった、トヨタのミドルクラス後輪駆動セダン「マークX」です。

元日産エンジニアが忖度なしで選ぶ「期待外れのクルマ」、“セダン復権”目指すも夢破れた高級車とは?2015年に誕生した2代目マークX。エンジンは、2.5リッターV6と、3.5リッターV6の2機種で、6速オートマチックを組み合わせていた。ワイド&ローで、シャープな印象のフロントデザインは、同世代のセダンの中では非常に秀逸なものだった(画像出典情報出典:トヨタ自動車)

 前身モデルである「マークII」は、最盛期には年間30万台(1990年)を記録した大ヒットモデルですが、バブル崩壊やセダン離れの影響を受け、2003年には年間4万台にまで失速。この状況を打破するためにトヨタが投入したのが、2004年11月にデビューしたマークXでした。

 ファミリーセダンとスポーツセダンを行ったり来たりしていた歴代マークIIに対し、初代マークXは「意のままの走りができるスポーツセダン」にコンセプトを絞って開発。その走行性能は素晴らしく、新開発されたV型6気筒エンジンの質感も高く、スポーティなエクステリアデザインも好評でした。

 マークXは発売直後の1カ月間で、月販目標5000台の4倍を超える2万2000台の受注を記録。マークII全盛期の勢いを取り戻すかに思えました。

 しかしながら「セダン離れ」という時代の流れを変えるには至らず、時とともに失速。2009年10月には2代目へフルモデルチェンジし、エクステリアデザインを大幅に変えたものの、少々“過激”な新デザインがかえって不評を招きました。

 結果、かつてのビッグヒットは再現できず、2019年12月に生産終了に。とにかく性能がいいクルマだっただけに、マークXの販売終了は非常に残念でした。