「ルネッサンス」を起こせなかった
日産「ルネッサ」
冒頭で述べたジュークと同じ日産のクルマでは、1997年10月に発売されたステーションワゴン「ルネッサ」が、期待されながらも売れなかったモデルだと言えます。
今で言うミニバンとステーションワゴンの「クロスオーバー」のようなスタイリングだったルネッサのコンセプトは、「パッケージング・ルネッサンス」。フロントシートからラゲッジスペースまで、段差の少ないフラットなフロアにしたことで、車内のウォークスルーもできる点が魅力でした。
また、最大570mmのロングスライド可能な2列目シートや回転対座式のフロントシートなど、室内空間のつくりに注力していました。
2800mmのロングホイールベースにより、セダン感覚の優れた操縦安定性も持ち合わせ、最小回転半径も5.4mと使い勝手も優秀。「月販目標6500台」と高い目標が据えられましたが、当時の関係者からは「日産の技術を結集させたルネッサならば達成できるのでは」と思われていました。
ところが、実際の販売は月1000台ほどと大苦戦。2年後の2000年1月のマイナーチェンジでは月販目標を500台に下方修正され、2001年9月に生産終了に。わずか4年のモデルライフでした。
実はルネッサは、将来的に「バッテリーEV(電気自動車)」にコンバートできるよう、床下にバッテリーの配置スペースを設けた二重構造のフロアとなっていました。
この設計には先見の明があったものの、結果的にフロアが高くなってしまい、またステーションワゴンタイプだったことで全高も低かったために、こだわりの車内空間は意外と窮屈だったそう。ミニバンと違い、2列シートのみであったことも、ユーザーにやや中途半端な印象を与えたようです。