関東経営者協会は1954年から毎年「昇給・ベースアップ実施状況調査」を公表してきています。1984年からは日経連と連名で、2002年からは経団連の名で、2021年版まで公表されていますが、2022年からは廃止されました。その数値をグラフ化したのが図1ですが、1977年以降は昇給とベースアップの区別のある企業だけが対象であるのに対し、それ以前はそうではないので、厳密には連続性には欠けます。

 これと同様の調査がほぼ同時期から、中労委によって「賃金事情調査」の中で行われてきています。対象も調査方法も同じではありませんが、図2のグラフを見ると、この70年間の大きな傾向はほぼ一致していることがわかります。

 これらのグラフを見て一目瞭然なのは、日経連が「ベースアップの代わりに定期昇給を」と叫んでから約40年間の間、ベースアップは消えるどころか、ほぼ毎年定期昇給率よりも高いベースアップ率が実現されてきていたということです。