ファストリは日本を待ち受ける
3つの最悪な未来に気づいている
ユニクロを運営するファーストリテイリングが、今年3月から国内の従業員の年収を平均15%、職種によって最大4割引き上げることを発表しました。
プレスリリースによれば、新卒の年収は約18%アップ、入社1~2年目で就任する新人店長は年収で約36%アップするといいます。
これまでファーストリテイリングの従業員給与は38歳で平均959万円と、競合のZOZOを運営するZホールディングスの1074万円に次ぐ水準でした。しかし、今回の改定で15%年収が引き上げられれば、いよいよ平均年収は1100万円台となり、昨年のZホールディングスを上回ることになります。
ファーストリテイリングの業容は、海外のユニクロの売り上げが半分を占めていて、給与水準としても欧米を中心に海外の従業員の方が、賃金が高い状況になっています。これまでの制度では海外の優秀な従業員を日本の本社で勤務させることは難しいでしょう。国内の賃金水準を引き上げることで、内外の人材の流動化がしやすくなるはずです。
昨今のインフレで直近の消費者物価指数が前年同月比4.0%の上昇となりました。これを受けて、経済団体ではこの春、5%の賃上げを目指しています。このような背景の中で、ファーストリテイリングの賃金の上げ幅は、なかなかに強烈な水準です。企業としてのファーストリテイリングの良い点として「日本経済の難しい構造的問題について正面から取り組む姿勢」がありますが、今回の賃上げはその好例だと思います。
では、ファーストリテイリングが今回の賃上げで見据えている未来とは何でしょうか? そして、賃上げ幅を「5%にするか4%にするか」という横並び程度の幅での経営判断に苦しんでいる一般企業の経営陣には見えていないものは何なのでしょうか? 今回はそのことについて記事にしてみたいと思います。
ファーストリテイリングに見えていて一般企業に見えていないものが三つあります。