米利下げ開始に向けてドル安も中長期はドル高、円高余地が小さい「3つの要因」とは?Photo:PIXTA

ドル指数は8月以降急落
ドル円も140円台前半に

 FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が急速に強まる中、ドルは8月に入って急落した。ドル指数(DXY)は8月以降3%程度下落しており、2023年夏以来の安値をつけた。

 ドル円は7月上旬に160円台前半で推移していたが、その後の為替介入や日銀利上げ、そして8月以降の世界的株安およびドル全面安の流れを受けた円キャリー取引(低金利の円で資金を調達し、より金利の高い外貨建ての資産に投資する取引)の急激な巻き戻しによる円買いで、140円台前半まで下落している。

 当面はFRBの利下げペースを巡る不確実性を背景に、米国経済指標の下振れに敏感な相場地合いが続きやすい。世界株も再び下落基調に転じる中、9月に入ってからは、再び円やスイスフランといった安全通貨の買いが目立つ。こうした中、既にピークから20円前後下落したドル円相場についても、短期的には一段の下落リスクに警戒が必要だろう。

 次ページでは、ドル円の中長期的なトレンドに振れつつ、日米金融当局の金融政策動向に基づき相場の先行きを予測する。