K:空気抵抗係数がいくら小さくても、そもそものクルマの前面投影面積が大きければ、空気抵抗値は当然大きくなります。逆にCd値が最悪な、正面が板みたいなクルマでも、前面投影面積が小さければ、空気抵抗値は小さくなります。

 分かりやすく言うと、シャチとかイルカって、流線型で、見るからに抵抗係数が低そうですよね。一方でフグとかアンコウなんかはドテっとした格好で抵抗係数が大きそうです。でも絶対的な体の大きさが違うから、抵抗値自体はシャチやイルカの方が圧倒的に大きい。速く泳ぐには、大変なパワーが必要になるのです。

F:なるほど。これは分かりやすい。

ボディの大きな電気自動車であるEQSボディーの大きな電気自動車であるEQSは、Cd値を下げ、空気抵抗をできるだけ小さくすることにより電費を良くしている(広報写真)

K:比較的車体の大きなEQSは、だから徹底的にCd値を絞り込んでいったのです。パッと見の流線型はもちろん。ドアノブが車体に収納されて、ドアの面をスムーズに仕上げるなど、細やかな設計を随所に施してあります。そのおかげで、航続距離は世界最高の652キロメートルです。