電気自動車こそ空気抵抗が大事な理由とは?

K:ガソリン車の場合は、高速を高いギア比でエンジンを低回転に抑えて巡航すれば、例えば新東名で120キロメートル巡航をすれば、エンジンの得意な「おいしい回転数」を使えるので、うんと燃費が良くなるんです。「ガソリン車は空気抵抗を気にしなくていい」とまでは言いませんが、高速領域においてはエンジン車の方が有利です。電気自動車の場合は、速度を上げていけばいくほど電費が悪くなってしまうんです。何しろ空気抵抗は速度の2乗で効いてきますから。

F:や、なるほど。高速走行では空気抵抗がものをいう。

K:そうなんです。だからEQSのCd値は0.2という数字を実現しているんです。

F:このCdという概念が、いま一つピンとこないんです……少ないほうが偉いということは分かっているのですが……。

K:Cd値は、空気抵抗係数のことで、この数字とクルマの前面投影面積を掛け算すれば、そのクルマの空気抵抗値が求められます。EQSの場合、前面投影面積は2.51平方メートルです。

Cd値×前面投影面積=空気抵抗値
EQSの場合:0.2×2.51=0.502

K:分かりやすく言うと、直径80センチメートルの傘を、真っ平らにして風に向かうような感覚です。

F:傘なら瞬間でオチョコになってしまいますね。それを120キロメートルとか、欧州なら200キロメートル超の速度領域で走らせる。これは凄まじい空気抵抗だ。