ユニクロ、アマゾン、ヤマト運輸、佐川急便からトランプ信者の団体まで――。数々の組織に潜入することで、世に知られていない実情を掘り起こしてきた「潜入記者」が、名誉棄損裁判でユニクロに完勝した経緯を初告白!証言台でのやりとりまで詳細に、嘘偽りなく明かす。【前中後編の中編】(ジャーナリスト 横田増生)
>>前編『ユニクロが文春に「2億円訴訟」を起こした理由、潜入記者が語る裁判の全貌』から読む
喜劇と化したユニクロ側の証言
証人調べで崩壊したのはユニクロ側だった。
ユニクロのCSR担当の執行役員は、証人台でしどろもどろになった。
ユニクロは、私の書籍が出版される数カ月前に「日経新聞」に全面広告を打っている。その広告には、こんな文章が出てくる。
ユニクロは年間6億着を生産し、その8割を中国の工場に委託している、とした後の一文だ。
「(委託工場における)過剰な残業時間や連続勤務の背景には、ユニクロの発注時期の遅れや急な計画変更のしわ寄せが生産現場に及んだと考えられる場合もあり、私たちも自らを厳しくチェックしなければなりません」
ユニクロが自ら墓穴を掘っているとしか思えない広告を探し出し、裁判所に証拠として提出していた。
証人台に立ったユニクロのCSRの担当者が、文春の弁護士からこの広告について聞かれた際のやり取りを裁判資料から引用しよう。