経営の神様・稲盛和夫氏は、部下が中途半端なことを言えば容赦なく叱責した。稲盛氏が「知識」以上に大切にしたものとは?(イトモス研究所所長 小倉健一)
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稲盛和夫は「ちょっと違う」
「話をすればするほど、『この人(稲盛和夫氏)はちょっと違う』と思わされました」
そう述べるのは、「経営の神様」と呼ばれた稲盛氏とともに、第二電電(DDI、現在のKDDI)を創業した小野寺正氏だ。PRESIDENT(2013年3月18日号)のインタビューで、小野寺氏は稲盛の印象を「ちょっと違う」と述べ、その理由を以下のように語っている。
《話をすればするほど、「この人はちょっと違う」と思わされました。構想を立てるときには、ものすごく幅広く考えている。さらに、われわれの意見をとてもよく聞いてくれるのです。社員の考えを汲み取ったうえで、自分の考えを仰る。とりわけ思考の深さが人並み外れています。だから中途半端なことをいえば、すごい勢いで叱られます。たびたび、「おまえの考え方がおかしい」といわれました》
(PRESIDENT、同号)
かつて日本の通信事業は国が独占的に運営していたが、1985年に大きな変化が起きた。政府は電話料金を下げるために市場に競争を導入することを決め、「通信自由化」を推し進めた。
新しい会社が通信事業に参入できるようになったのだ。このとき、稲盛氏は、電電公社の課長補佐だった小野寺氏、同じく電電公社の千本倖生氏らとともに「第二電電(DDI)」を設立した。
稲盛氏の問題意識は「日本の電話料金が高すぎる」と強く感じていたことに始まる。