2球目、ストライクゾーンに決まったストレートが、150km。大谷が初回に投げた10球、そのすべてがストレートで、すべてが150kmを叩き出した。この日、大谷のボールを受けていたのは、鶴岡だった。

20勝して30発打つ選手だと
もはや疑う余地はない

「翔平はまっすぐのほうがコントロールが悪くて、スライダーのほうがコントロールがよかった。でも、あのときはまだ僕が大谷というピッチャーのことをわかっていなかったんでしょうね。まっすぐが速い、じゃあ、まっすぐを続けようという感覚だったんだと思います。ただ、まだバラバラでしたし、構えたところにも来なかった。だから自滅せず、自分を操ることができれば一軍で十分、勝負できると思いました。この頃にはもう、翔平が投げているボールを直に受けて、ネクストバッターズサークルですごい打球を見せられて、これは本当に20勝して、30発打つなって、もはや疑う余地はありませんでした」

 さらに、鶴岡が感じた大谷の才能は、打って、投げるだけではなかった。彼の18歳らしからぬ考え方、気持ちの持ちようにも鶴岡は何度も感心させられていた。