石田雄太 著
「『次、やったら抑えますけどね』って……おっ、冷静なヤツだと思っていたら、けっこう勝ち気なところを見せてくることもあるんだと思って。あのとき、翔平は野球選手として活躍するために必要なすべてのものを持っていると思いました。身体、技術、冷静に自分を判断する力、そこに勝ち気も加わって……こんなん、無敵の18歳じゃないですか(笑)」
プロ1年目、ピッチャーとして13試合に登板、3勝0敗、防御率4.23。野手として77試合に出場、打率.238、3本塁打、20打点。どちらかに絞るためではなく、どちらにも凄みを加えるための二刀流。大谷は1年目を終えて、こんなふうに話していた。
「いつか、どちらかに絞ろうと思っていたら、知らない間に『どっちがいいのかな』というところに目が行ってしまって、僕自身の中で選ぶという発想になってしまうと思うんです。だからそういうふうには考えません。とことんまで『どっちも伸ばそう』と考えるようにしています」
1994年7月5日、岩手県生まれ。花巻東高校時代に通算56本塁打と球速160kmをマークした。2013年にドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団。2年目に日本プロ野球史上初の「2桁勝利、2桁本塁打」(11勝10本塁打)を達成。3年目の2015年には最優秀防御率、最多勝、最高勝率の投手3冠に輝く。2016年には日本プロ野球史上初の「2桁勝利、100安打、20本塁打」で投打の主力としてリーグ優勝と日本一に貢献、リーグMVPに選出された。5年間の日本プロ野球を経て、2017年12月8日にロサンゼルス・エンゼルスとの契約に合意し、MLBに移籍した。メジャー1年目から投打二刀流でプレー。MLB史上初の「10登板、20本塁打、10盗塁」を達成し、ア・リーグ新人王に輝いた。シーズン中に右肘靭帯を損傷したため、シーズンオフにトミー・ジョン手術を行った。2年目は5月にリハビリから復帰するものの、9月にふたたび手術で欠場。3年目の2020年はCOVID-19の影響でシーズン開幕が遅れ、さらに故障もあり、出場試合は限られた。2021年、初めて投打二刀流で怪我なくシーズンをプレーし、ア・リーグMVPに満票で選出された。2022年、1918年のベーブ・ルース以来史上2人目となる同一シーズン「2桁勝利、2桁本塁打」を達成、さらにMLB史上初となる投打ダブルでの規定到達も成し遂げた。2023年、日本代表として第5回WBCに参加し、投打で主力として日本の優勝に大きく貢献し、MVPに。さらにレギュラーシーズンでは日本人初となる本塁打王を獲得し、2021年に続き、ア・リーグMVPに満票で選出された。2度の満票選出はMLB史上初。2023年12月9日にロサンゼルス・ドジャースへの移籍を発表。契約金は北米4大プロスポーツ史上最高となる10年総額7億ドル(約1015億円)。