たとえば4月13日の神戸、バファローズとの一戦。大谷はライトを守っていて、ライン際へのフライを追った。その際、右足を土の上で滑らせて、フェンスにぶつかってしまう。そこで大谷は、右足首を内側に捻ってしまったのである。鶴岡が続ける。
「あのとき、周りはこの先、翔平がピッチャーをやるのかどうかってすごく心配したんです。ほとんどが『ムリでしょ』『やっぱりこうなるんだよ』って二刀流に否定的な声でした。でも、翔平は平然としていたんです。よく考えてみたら、アイツにとって、外野を守って、ピッチャーもして、ちょっと足首を捻ったけど次は大丈夫、なんて野球は普通のことなんですよね。子どもの頃からの野球人生がそのまま続いているだけで、何も変わっていない。ああ、二刀流、二刀流って、周りが過剰に反応してるだけなんだなって思いました」
打撃も投球もとことんまで伸ばす
決意をした“無敵の18歳”
しかも一見、草食系の大谷に肉食系の心が備わっていることも鶴岡は感じていた。
「僕がよく覚えているのは、打たれた後に翔平が負けず嫌いな発言をしたときのことです」