郷土の味と全国の味が共存

『ご当地「駅そば」劇場』などの著書があり、“全国の駅そばを1万杯食べた男”としても知られる鈴木弘毅氏は、「ゆで太郎」の挑戦についてこう語る。

「日本全国を回ってそばを食べると、『そばが全く食べられない地域はない』ということが分かります。うどんが極端に強い南九州、広島県や山口県などの中国地方、そして四国でも、そばが全く食べられないというわけではありません。関西もうどんのイメージが強いとはいえ、駅そばの『阪急そば』(現・若菜そば)も人気ですし、京都にも『にしんそば』を筆頭とするそば文化があります。そばの全国チェーン店が誕生する可能性は十分にあるでしょう。また、だしの味を調整するなどのローカライズも必要ないと思います。例えば全国には個性豊かな“ご当地天丼”がありますが、『天丼てんや』は全国均一の味です。郷土の味と全国の味が共存することこそ、私たち消費者にとっては理想的な状況ではないでしょうか」

「ゆで太郎」の挑戦は“西日本の壁”を越えることができるのか。注目が集まる。

(井荻稔)

井荻稔
ライター。福岡県出身。大手新聞社で主にサツ回りとしてキャリアを積んだあと、主に週刊誌やネットメディアで記事を執筆。フィールドはカルチャーから政治まで広いがゆえに、逆に得意分野はなし。趣味は映画鑑賞と暴飲暴食。

AERA dot.より転載