【とつぜん耳が聞こえなくなる!】ストレスによって起こる「難聴」とは?
それを語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「難聴」かも?
「最近、なんだか音が聞こえにくいな……」
「話を聞いていても、内容が入ってこないな……」
こんなふうに、耳の違和感を感じたことはありませんか?
耳鳴りや聞こえづらさが続いてしまい、仕事や家庭でもうまく行かなくて不安になってしまいます。
でも、そんな消えにくさの原因が思い当たらない場合、その背後にあるのは「ストレス」かもしれません。
今回は、ストレスが引き起こす難聴について、お話ししたいと思います。
「ストレス」と「難聴」の関係
ストレスが私たちの体に与える影響はいろいろなものが考えられます。
寝不足になったり、お腹の調子が悪くなったり、頭痛がしたり……。
そんなストレスはときに耳の聞こえ方にも影響を与えることがあります。
強いストレスは自律神経を乱れさせたり、内耳に必要な酸素や栄養が行き渡らないようになるなど、いろいろな理由で耳の機能に問題が起こり、難聴や耳鳴りといった症状が起こることがあるのです。
特に、「突発性難聴」と呼ばれる疾患になると、ストレスや過労が原因で突然片耳が聞こえなくなることがあり、耳鳴りやめまいを伴うこともあります。
突発性難聴は本当に突然起こって治療も難しい疾患なので、ストレスによる難聴ってとても怖いものなんです。
「ストレス性難聴」の症状と特徴
ストレスが原因になって起こる難聴には、いろいろなパターンがあります。
・音がぼんやりと聞こえるようになる:特定の音や小さな音、人の言葉だけが聞き取りにくい
・耳鳴り:キーンという高音や、ザーッという雑音がずっと聞こえる
・耳詰まり:耳が詰まった感じや、なにか入ったような違和感がある
・片耳だけ聞こえにくい:突発性難聴の場合、片耳だけに症状が出ることもあります
このようにストレスによる難聴は様々なパターンによって生じます。
そんな難聴はストレスがピークに達しているときに現れやすく、「ちょっと休まないとダメだよ」という心のサインのようなものでもあります。
ですが、そんなサインを無視し続けると、ほんとうに危険な状態になってしまうのです。
難聴をよくするにはどうすればいい?
そんなストレスによる難聴に対処するには、やはりまずはストレスを減らすことが大事です。
あなたが大きなストレスを感じていること、仕事や家庭、学校など、あなたがつらいと感じていること、それをまずは誰かに相談することが大切です。
あなたの身近にいる人、家族や職場の相談しやすい人、ご友人などにまずは話してみましょう。
体調を崩すほどのストレスが続いているなら、耳以外でもさまざまなトラブルが生じる恐れもあります。
そんなときほど、人間は孤独になったり、悩みを打ち明けられなくなりがちなので、まずは人に話すことが大切です。
そのうえで、あなたが感じているストレスを減らして自分自身を労われるような取り組み、休息やリフレッシュ、日常から離れる軽い旅行なども良いでしょう。
ストレスによる難聴は、誰にでも起こり得る現代病の一つです。
忙しい毎日の中で、あなたのこころのサインが聞こえなくなることが、じつはいちばん大きな難聴なのかもしれません。
そんな難聴を防ぐためには、自分の心の声に耳を傾けることが第一歩になります。
「最近音が聞こえにくいな」と感じたら、それは体からのSOSかもしれません。
無理をせず、まずは誰かに相談しましょう。
自分の心の声が聞こえにくくなっているなら、なおのこと、いっしょに聞いてくれる人を探してみてください。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。