米オープンAIは2年足らずの間に、不可解な技術を手掛けるほとんど無名の非営利研究機関から今や世界的な有名企業へと変貌を遂げた。その最高経営責任者(CEO)は人工知能(AI)革命の顔ともいえる存在だ。だがそうした変化が同社を引き裂いている。オープンAIでは、営利企業への転換を進める中で主要幹部の離脱が相次いでいる。9月25日には最高技術責任者(CTO)のミラ・ムラティ氏が退社を発表。オープンAIのサム・アルトマンCEOが昨年、一時的な解任から復帰して以降、社内で広がってきた軋轢(あつれき)が表面化している。摩擦の一部は、公共の利益のためにAIを開発するというオープンAIの創業理念と、収益を生む製品を売ろうとする新たな取り組みとの対立が関連している。メロドラマにもなりそうな幹部間の混乱や争いも不協和音を増幅している。