「それなりに残業をやってきた。仕事は仕事としてしっかりやりたいが、バランスのとれた生活を築きたいと思っている。日本でもこうした暮らしをしようと思ったらできたのかもしれないですが……。長時間働く文化もありましたし、やらざるを得ない状況があって難しかったですね」
自分だけ長時間労働をしなかったときの、同僚からの評価も気になった。
海外への移住は、家族のことを考えた決断でもあった。妻も年功序列や男性優遇といった日本の価値観に違和感があって、海外で暮らすことに前向きだった。2人の子どもたちのために「日本だけでなく、どこでも生きていけるような環境を整えてあげたい」という思いも大きかった。
海外移住を本格的に考えはじめたのは、2020年頃。ちょうど新型コロナウイルス感染症が広がりはじめた時期だった。英語圏を中心に探したが、移住先探しは難航した。
「国境を閉じている国もあるなかで、カナダは受け入れ態勢が整っていて、ウェルカムな状態だと感じました。不安はありましたけど、なんとかなるかなと」
今は勉強と育児に追われる毎日だ。カレッジでは、週7~8コマを受講し、土日に通学することもある。驚かされたのは、課題の量だ。