ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し#20Photo by Yuya Konoe

低賃金、長時間労働がまん延する日本。国際資格を取得して海外へ脱出すれば、待遇はどれほど良くなるのか?特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の最終回では、米国公認会計士(USCPA)として、米カリフォルニア州の4大会計事務所(Big4)で勤務する近衛祐哉氏が、試験と費用、労働時間、そして年収まで伝授する。

日本の資格が海外進出への
「予備知識」になることも

 日本では近年、低賃金かつ長時間労働の問題が深刻化している。円安が進んだことで、海外でのキャリアチャンスや、海外への“出稼ぎ”は魅力的な選択肢の一つとしてマスメディアやSNSなどでも取り上げられるようになってきた。

 筆者は日本の「公認会計士」として東京にある4大会計事務所(Big4)の一つで勤務した後、英ロンドンへの駐在や米ロサンゼルスでの留学を経て、現在は「米国公認会計士(USCPA)」として米カリフォルニア州にあるBig4で勤務している。

近衛祐哉氏このえ・ゆうや/日本の銀行に勤務した後、公認会計士試験に合格。監査法人にて総合商社の監査業務に従事し、英ロンドンに駐在。米ロサンゼルスでの留学を経て、米シリコンバレーにあるBig4にてIPO(新規株式公開)やM&Aにおける会計アドバイザリーに従事中。留学や現地就職、USCPA(米国公認会計士)を目指す人への情報発信やサポートも行っている。公認会計士、米国公認会計士(カリフォルニア州)、MBA(University of Southern California)。

 日本と米国両方での会計士としての勤務経験を踏まえ、海外就職における会計・監査の資格の役立ち方や、収入向上の可能性について紹介する。

 会計・監査業界では、国際的に認められた資格を取得することにより、海外での就職やキャリアアップに役立てることができる。例えば、USCPAは米国で広く認知された資格であり、取得すれば米国のBig4をはじめとする会計事務所や現地企業への就職チャンスが広がる。

 公認会計士やUSCPAは職域全般をカバーしているが、「公認内部監査人(CIA)」「公認不正検査士(CFE)」「公認情報システム監査人(CISA)」などの資格も監査における専門スキルを証明することができる資格として海外で需要が高い。マネジャーなどの管理職に昇進するために職域に応じた資格取得が必要となる場合は多く、ダブルライセンスを保有している専門家も多い。

 これらの資格は日本でも受験できるので、海外でキャリアアップを目指すなら今からでも資格取得の準備をスタートすることをお勧めしたい。

図表:資格・検定の職域の比較『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』どこ著、中央経済社)および近衛祐哉氏への取材を基にダイヤモンド編集部作成 拡大画像表示

 なお、日本と海外における会計基準や監査基準の違いは年々少なくなっている。そのため、日本の公認会計士試験や「日商簿記検定」に合格していると、海外で会計・監査業務に従事する際の予備知識として役立つこともある。

 しかし、海外での就職活動における書類審査や、Big4内での昇進時の資格要件という面では、国際的に認知された資格または現地の会計士資格を保有していることが必要だ。

 そのため、海外でキャリアチャンスを広げたい場合には、日本の会計・監査資格よりも、USCPAなどの国際的に認められた資格取得にチャレンジした方がよいだろう。

 次ページでは、日本とは比べものにならない年収をはじめ、労働時間や必要な英語力などを大公開。アメリカンドリームを手繰り寄せる秘訣を伝授する。