買い物難民の増加を受けて、多くの地方自治体では対策を講じている。

書影『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)
河合雅司 著

 食料品の移動販売への補助や、スーパーマーケットやホームセンターなどを回る無料の送迎バスを走らせる事業を行っているところもあるが、人手不足で運転手の確保は難しい。利用者が少なくて採算が取れずに事業が打ち切られることも少なくない。

 すべての食材をコストが高いネット通販で購入するのも家計指数が大きくなりすぎて現実的ではない。そもそも、これらの取り組みは、内需の縮小で店舗経営が難しくなるという根源的な課題を解決し得るものではなく、限界がある。

 政府は、世界人口の爆発的な増加に伴う食料不足に備えて食料安全保障の強化を急いでいるが、食料を安定確保したとしても国民の手元にスムーズに届かないのでは意味がない。人口減少社会における食料安全保障は、もっと広義にとらえて対策を考える必要がある。