押し上げ要因は店舗側の変化にもある。各地で郊外に立地する大型商業施設が増加し、昔ながらの商店街は衰退してきた。このため住宅街近くにあった食品スーパーの撤退が東京圏も含めて目立つようになった。また、商店主の高齢化に伴い、住宅街近くにあった個人店が廃業するケースも相次いでいる。

 コンビニとスーパーの中間規模の新形態の店舗を住宅街周辺に出店する動きも出てきてはいるが、全国で見ればまだ十分な数ではない。こうした形態の店舗も、ある程度の需要が見込める住宅密集地にしか出店しないものとみられる。

 最近の公共交通機関の縮小も、買い物難民を生み出す要因として加わってきている。

 農林水産政策研究所の分析は徒歩を前提としているが、東京圏でも路線バスの廃止や運行間隔の広がりが進んでおり、これまで公共交通機関を利用して何とか買い物をしてきた人たちにも困難さが増している。タクシーを利用して買い物をするという人もいるが、運転手不足で思うタイミングで出掛けることが難しい状況も出てきている。