このように、70代後半や80代の人にとって買い物をめぐる「環境」がどんどん悪化してきている。悠々自適な老後のつもりが、食料を求めての“サバイバル戦”を余儀なくされる。そうした人々が増えるのも人口減少社会のリアルだ。

人口減少社会では年齢に関係なく
「買い物弱者」が増えていく

 買い物難民とは、高齢化で移動困難な人が増えるという「消費者側の変化」と、国内マーケットが縮小し小売店舗の経営が困難になるという「売り手側の変化」という2つの構造的課題が重なって起きているということであるが、これを単に高齢者の問題として片づけてはならない。

 人口減少が背景にある以上、いずれ若い世代にとっても深刻な状況が広がる。国内マーケットは縮小を続けており、各地で小売業の淘汰が始まっている。すでに自宅からかなり離れた隣接市町村の大型ショッピングセンターに買い物に出掛けている人は少なくないが、今後はちょっとした品物が不足しただけで遠方まで買いに行かなければならなくなる可能性が大きくなることだろう。年齢に関係なく、自宅近くに買う場所がないという「買い物弱者」が増えそうだ。