「シャベルの数が足りなくなるほど」積極的に協力する地元住民たち
驚異的なスピードで成長できた理由を、ウッド氏は「チャレンジ・グラント」と呼ぶモデルで地域社会を巻き込んでいるからだと説明する。
ルーム・トゥ・リードでは、学校や図書館を建設する際、地域社会にも半分を負担してもらう。プロジェクトの成功には、地域社会の協力体制と意欲が欠かせないからだ。
「チャレンジ・グラント・モデルを通じて、開発途上国の親たちがどれほど自分の子どもたちに教育を受けさせたいと願っているかを強く感じることができます。ラオスでは、建物の基礎をつくるために地域コミュニティの人たちが集まったところ、多くの親が集まりすぎてシャベルの数が足りなかったということがありました。モンスーンの時期に道路が泥だらけになってトラックが進めなくなったときは、みんなで小さい丸太や木の枝を泥の上に並べ、トラックを走らせたんです」(ウッド氏)
チャレンジ・グラント・モデルは、やる気のある地域社会と協力できるのはもちろん、資金を有効に使えるという利点がある。ルーム・トゥ・リードを支援する人々は、困っている社会への「施し」ではなく「手助け」をしていると感じることができ、支援が「依存の連鎖」を生むのではないかと懸念せずにすむ。