根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、よく目が霞む、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を特別公開する。
ミトコンドリアに「適切な食べ物」と「休息」を与えて
パワフルな若返り効果を手にいれる
ミトコンドリアはハイブリッドエンジンのようなもので、脂肪と炭水化物という2つの燃料源で動く。私たちの多くは、クリーンな燃料の脂肪ではなく、燃焼効率が悪く、きれいに燃えない炭水化物で代謝エンジンを動かしている。
トランス脂肪酸や酸化した油(特に揚げ物から来る)などの悪い脂肪は、ミトコンドリアに害を与える。ケトンと呼ばれる脂肪やMCTオイル(中鎖脂肪酸トリグリセリド油)などは、ミトコンドリアの修復、再生、再構築を助ける燃料として好ましい。
とりわけMCTオイルは、ミトコンドリアにとって優れた燃料源だ。未精製のココナッツオイルにはMCTが含まれているが、MCTを別途購入することもできる。運動前に摂取すると、きれいに燃焼して、パフォーマンスを高めてくれる。
ミトコンドリアには適切な燃料が必要だが、それを適切なタイミングで与えることもまた重要だ。問題は、私たちが昼も夜も食べ続け、身体の生物学的な仕組みに十分な休息を与えていないことにある。細胞はこの休息を得て、老廃物を除去し、古いパーツをリサイクルして新たな細胞を作り、抗酸化システムと抗炎症システムを活性化させ、有害な内臓脂肪を除去し、筋肉と骨を増強し、脳の機能を強化する(それにより次の食物を探すことができるようになるわけだ!)。
最高の食物と最高のタイミングを組み合わせれば、あらゆる治癒メカニズムが活性化され、ミトコンドリアと人生をスーパーチャージすることができる。これこそが健康的な加齢を手にする鍵だ。
ミトコンドリアがエネルギーを生み出すには、特定の栄養素が必要だ。それらには、ビタミンB群、コエンザイムQ10、カルニチン、亜鉛、マグネシウム、セレン、オメガ3脂肪酸、リポ酸、N-アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンK、硫黄などが含まれる。ブルーベリー、ザクロの種、牧草で育てた牛肉やその乳で作ったバター、ブロッコリー、イワシ、エキストラ・バージン・オリーブオイル、アボカド、アーモンドなどは、ミトコンドリアを活性化させる脂肪と植物性栄養素の宝庫だ。
ミトコンドリアに適切な栄養を与えること、つまりきれいに燃焼する燃料を使い、糖とデンプンを避け、良質な脂肪を増やし、主要栄養素の最適なレベル(*1)を保つことを学べば、代謝がチューンアップできる(*2)。そしてこれを食事時間制限食やファスティングなどによるミニブレイクと組み合わせれば、健康、活力、長寿にパワフルな若返り効果をもたらすことができるだろう。
*1 Ames BN. “A Role for Supplements in Optimizing Health: The Metabolic Tune-Up.” Arch Biochem Biophys. 2004 May;423(1):227-34.
*2 Ames BN. “The Metabolic Tune-Up: Metabolic Harmony and Disease Prevention.” J Nutr. 2003 May;133(5 Suppl 1):1544S-48S.
(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』からの抜粋です)