根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、よく目が霞む、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を特別公開する。

「老い」とは「病気」であり、それには「治療法」があるPhoto: Adobe Stock

私たちが「老化」とみなしているものは、
実は「異常な老化」だった

 私たちは、期待と要求と苦悩に満ちた世界に生きている。そして、ようやく「黄金期」を迎えたときには、疲れ果てて、病を抱えてしまう人が多い。

 アメリカ人の6人に1人は慢性疾患を抱えており、全米高齢者問題協議会によると、高齢者のおよそ80%が少なくとも1つの慢性疾患を抱え、2つ以上の慢性疾患を抱えている高齢者も68%に及ぶという(*1)。

 100歳を超えて生き続けたいと望む人がこれほど少ないのも、むべなるかなだ。加齢による機能障害、病気、死は避けられないものに思えるのだから。年をとることは恐ろしいものなのだ。

 だが、もし120歳まで生きて、愛する人とハイキングを楽しみ、山の池で泳ぎ、おいしい料理を作って食べ、愛し合い、そして至福の中で穏やかにこの世を去ることができるとしたらどうだろう? 私はそんな最後を迎えたい。実際、そうなると期待している。

 そんなことは絵空事だと思えたとしたら、それはあなたの想像力が欠けているせいだ。つまり、加齢と病気のことを、現在のヒト生物学の科学に照らして見ていないのである。この科学は今、健康と病気に関して私たちが抱いているあらゆる概念を激変させている

 加齢は、心臓病、がん、糖尿病、認知症、高血圧、自己免疫疾患を含め、あらゆる慢性疾患のリスクを加速させる。だが、私たちが「正常な」老化と見なしているものは、実は異常な老化なのだ。それは、私たちの身体の仕組みに生じる無数の変化の結果であり、治療可能なものなのだ。

 今日の大部分の医学は老化を病気とみなしていない。だが、老化は病気であり、しかも治療可能な病気であると考えたらどうなるだろうか? アメリカの医学界はこの考えを受け入れていないが、世界保健機関(WHO)は老化を病気として公式に認めている(*2)。

参考文献
*1 Healthy Aging Team. “The Top 10 Most Common Chronic Conditions in Older Adults.” National Council on Aging. April 23, 2021.
https://www.ncoa.org/article/the-top-10-most-common-chronic-conditions-in-older-adults. 
*2  “XT9T Ageing-Related.” ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics, version 02/2022.
https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http%3a%2f%2fid.who.int%2ficd%2fentity%2f459275392.

(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』からの抜粋です)