体重の7%以上を減量すれば
肝細胞から脂肪が減少する

 もし心臓の機能が低下したとしても人工心臓で代替は可能です。腎臓の機能が損なわれたとしても人工透析があります。

 では、肝臓が決定的に傷んでしまった場合はどうか。少なくとも臨床の現場で実用化されている「人工肝臓」は存在しません。人工では肩代わりできないほど、肝臓が担っている役割は多岐にわたるからです。肝臓の機能が不可逆的に損なわれてしまったら、もはや肝臓移植する以外に道はありません。

 2016年のデータによると、日本人の2266万人が、先ほど説明した「ドミノの第一歩」である脂肪肝に罹患し、その数は年々増え続けています。実に日本人成人の3分の1に相当する数です。

 つまり、「肝臓を患う=酒飲みのツケ」と思われてきた傾向がありますが、アルコール好きでなくても肝臓を害している人が非常に多いと言えるわけです。そして、

「脂肪肝→脂肪肝炎→肝硬変や肝がん」

 といった具合に、ドミノは一気に倒れていきます。したがって、最初のドミノで何とか踏みとどまることが極めて重要なのです。