「この人々をどうやって止める?」と彼は言った「できやしない」

「奴らを撃て!」とだれかが叫んだ。

 そこで彼は笑ったのだ。そしてブレントは、それが自分の知っている笑いだと気づいた。その笑いを何年も夢に見続けていた。

浄化槽から死体を取り出す
そのやり方は作戦ノートにはない

 2007年、派兵されて間もないころにブレントはまだ、今回の使命を果たす意味を信じていた。たとえ町の外れにある工場の浄化槽に浮かんでいる死体を見たときですら、そう信じていた。

「頭が切断され、足の指も手の指も全部切断されている」とブレントのそばにいた兵士が言った。120人の隊の指揮官だった。そして120人全員をその建物のなかに収容するつもりでいた。

「とにかく、なんとかしなければならないな」とブレントは口を開いたが、そのまま声が途切れた。「まったく」。どうすればよいかわからなかった。しかしそれが任務の一環であるからには、なんとかしなければならなかった。