「あなたの職場は、会議の結論を机上の空論や現場の意見だけで決めていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で、働き方改革、組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」には共通する時代遅れな文化や慣習があり、それらを見直していくことで組織全体の体質を変える必要があると気づきました。
その方法をまとめたのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』です。社員、取引先、お客様、あらゆる人を遠ざける「時代遅れな文化」を変えるためにできる、抽象論ではない「具体策が満載」だと話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「抽象度・具体度が偏っている会議」の問題点について指摘します。

人が辞めていく「まとはずれな判断をする組織」の「会議で起きていること」・ワースト1机上の空論や現場の意見だけで決めていないか?(イラスト:ナカオテッペイ)

「机上の空論」か「現場の具体論」に終始する組織

 会議などにおいて結論を出す際にも、組織による違いがでる。

 たとえば、机上の空論だけで話を進めようとする人たちがいる。
 あなたの会社が地方都市の企業向けのサービスを企画・開発するとする。本社の人たちだけで話を進め、地方支社の人たちから「まるでわかっていない」と反感を買い協力を得られない。または東京や海外のコンサルティングファームの提案や調査レポートの内容をそのままに実践してうまくいかない(滑る)。このような痛い経験をした人もいるのではないだろうか。

 あるいは理論や仮説の話に終始し、誰も実行策を提示できない。ゆえに意思決定できない。決まらない。そのようなモヤモヤした会議が、今この瞬間にもどこかで行われている。

 とはいえ、現場の議論やリアルだけが優先されるのも考えものである。今のやり方に固執してしまう、大胆な発想が生まれにくい、目先の利益や快適さが優先され変化に抵抗するなど、これまたものごとが決まらない。

鳥の目と蟻の目を使い分ける

 一方で、本社と現場、机上とリアル、これらのバランスを取りながらものごとをうまく進められる人たちもいる。いわば鳥の目と蟻の目をうまく使い分けている。

 鳥の目とは、ものごとを上またはタテ・ヨコ・ナナメなどから俯瞰して眺める視点。蟻の目とは、地上を這う蟻のごとく現場のリアルと向き合う視点である。鳥の目と蟻の目を使い分けることにより、具体と抽象を行き来できる。

 抽象論ばかりで話がまとまらないときは「たとえば、~について考えてみましょう」など例を挙げて、具体的な意見を引き出す。逆に具体論ばかりで方向性がバラバラなときは抽象的な意見を共有して景色を合わせる。

 このように視点を上げ下げし、抽象論だけ具体論だけで突っ走らないようにしよう。

 次のページでは、鳥の目と蟻の目を使い分けるための具体的な行動を3つ挙げる。