教育の権限を県教委や市教委から市長部局に移してもらえれば、ヨーロッパ並みの充実した教育環境をつくる自信はありました。いじめや不登校ももっと減らせるし、障害のある人と障害のない人がともに学ぶインクルーシブ教育も広げていけたはずです。

教育現場に根強く残る
旧態依然とした一律主義

 欧米では、障害のあるなしにかかわらず、ともに同じ学校、教室で学びます。支援が必要な子どもには、スタッフがプラスして配置されます。ところが、日本は長い間、障害のある子どもは別の学校に行かされてきた歴史があり、このことが日本の福祉を非常に排他的なものにしてきました。

 義務教育はすばらしい制度だとは思いますが、それが行き過ぎると子どもにとってはただの強制になってしまいます。「学校に来るのが正しい。遅刻は間違っている」という杓子定規な考え方が、不登校の子どもを生んでいる原因のひとつになっています。そのことを教育に携わる人間は、もっと真剣に考えるべきです。

 子ども1人ひとり、個性もあれば考え方や成長のスピードも異なります。そんな多様な子どもたちに対応するために、明石市では学校外の居場所づくりにも力を入れています。2021年度には、無料で利用できる公設民営のフリースクール「あかしフリースペース☆トロッコ」をオープンしました。これはNPO団体との連携で実現したもので、全額公費で助成しています。