根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を編集して特別に公開する。
世界一の健康長寿エリアに住む人々の
生活に組み込まれているもの
サルデーニャと[ギリシャの]イカリアの人々に古代のやり方を垣間見せてもらえたことは幸運だった。私は、人々が食べ物や家畜を大切に育てる姿を目にした。また、食べ物の味は家畜や植物そのものに由来するのではなく、それがどこでどのように育てられたか、そして家畜が食べるものや、薬効のあるファイトケミカル[植物性化合物]を豊富に含む野生の植物に由来するということを深く理解している姿を見た。さらに人々は、家族、友人、コミュニティに対して愛とつながりを深く育んでいた。
イチゴであれヤギのチーズであれプロシュートであれ、今や科学は、食品の栄養密度や風味とそのファイトケミカル(植物性化合物)の豊富さとを明確に結びつけている。それこそが食べ物を薬にするものであり、DNAを浸し、エピゲノム(すべての遺伝子の発現を制御するシステム)と身体のあらゆる生物学的ネットワークを制御するために私たちが必要としている食べ物なのだ。
こうしたコミュニティに暮らす人々は、ジムに通う必要も、オーガニック食品を買う必要も、ソーシャルメディアを呆然とスクロールし続ける必要もない。彼らの生活そのものに、薬効のある食べ物、山を上り下りする運動、生涯続く深い友情とコミュニティ、共に人生をゆっくりと味わうことが組み込まれているのだ。
現代の暮らしを送っている私たちがそれに近い生活をするには、ファーマーズ・マーケットやホールフーズ・マーケット[アメリカ、カナダ、イギリスに展開する高級スーパーマーケット]で身体によい食べ物を探したり、ジムに行って身体を鍛えたりしなければならない。
ブルーゾーン[地球上最も健康で長寿を享受している人々のコミュニティがある場所]から学ぶべきことは多い。それは、核家族や個人主義的な暮らしを追求するなかで遠ざかってしまった最もシンプルな習慣から、自然やそのサイクルから離れてしまい、食べ物の源を知らずに暮らしている現実を認識することにまで至る。
私たちは1000年前の世界に戻って暮らすことはできないが、ブルーゾーンの教えを学び、家庭、家族、友人、そして地域社会のあいだに自分たちのゾーンを築くことはできる。
教訓は明白だ。自然に寄り添って生きよう。深く愛そう。持続可能な方法で育てられた(理想的には自分の手で育てた)シンプルな食べ物を食べよう。身体を自然に動かそう。笑って休もう。そして生き続けよう(結局のところ、それは長生きすることになる)。
(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』から一部を抜粋し編集しています)