根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、よく目が霞む、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を特別公開する。
原因は「高糖質・高デンプンの食生活」と
「座りがちなライフスタイル」だった
加齢に伴うほとんどの病気はみな、根底にある修正可能な不均衡から生じている。身体に備わる7つの生理学的システム[消化器、免疫系、ミトコンドリア、解毒システム、コミュニケーションシステム、循環・輸送系、構造系]のバランスを崩すものが多すぎたり、バランスをとるために必要なものが少なすぎたりすることが、老化の典型的特徴、およびそれらの修正可能な機能不全がもたらす病気を引き起こしているのだ。
たとえば、アルツハイマー病、心臓病、がん、糖尿病、肥満、さらには不妊症やうつ病にさえ共通しているものは何だろう? それは、みな、不均衡な血糖値とインスリン抵抗性から生じる場合がある。
これから見ていくように、この問題は多くの老化現象の根底に潜んでいる。現在、アメリカ人の10人に9人以上がその影響を被っているが、その原因は、高度に加工された高糖質・高デンプンの食生活と座りがちなライフスタイルにある。医師がそのことを見逃す率は、最大90%に及んでいる。さらにそれは、ほぼ100%完治可能な問題なのだ。
では、インスリン抵抗性をもたらすものは何だろうか? それは、デンプンと糖分の摂りすぎだ! 簡単に説明すると、糖に分解される食品、つまりパン、パスタ、クラッカー、デザート、加糖飲料や、米、ジャガイモといったデンプン質の食品などを食べると、膵臓からインスリンが分泌される。
インスリンは、血液中の糖(ブドウ糖)を取り込み、エネルギー源として細胞に送り込む役割を担っているホルモンだ。デンプンや糖を摂れば摂るほど、血液中から糖を排出するためにインスリンがたくさん分泌される。
インスリンは脂肪蓄積ホルモンだ。時が経つにつれて細胞はインスリンの作用に抵抗性を持つようになるため、血糖値を正常に保つには、より多くのインスリンが必要になる。
そしてインスリンの量が増えると、有害な影響が次々に現れてくる。危険な腹部の脂肪の蓄積、筋肉の減少、空腹感と糖分渇望の増加、炎症、高血圧、コレステロール値の悪化(低HDL、高中性脂肪、小型LDLの増加)、脂肪肝、性ホルモンの変化と性機能障害、うつ病、記憶力低下、血液凝固の増加が起こり、最終的には2型糖尿病、心臓発作、脳卒中、認知症、がんが引き起こされる。
インスリン抵抗性を治すという根本的な原因に対処すれば、これらの症状を薬物で個々に治療する必要はなくなる。これらは別々の問題ではなく、同じ根と幹を持つ木の枝のようなものなのだ。
(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』からの抜粋です)