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「書く」ことが日常的に減っているなかで、いざ文章を書こうとすると、何を書いていいのかわからない、稚拙な文章しか書けない、と頭を悩ます人もいるだろう。書くことへの苦手意識を取り払って40代からでも文章が上達するコツを教育学者・齋藤 孝氏が解説する。本稿は、齋藤 孝『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

文字を書く力も40代では大切
構成力があれば文章力は向上する

 日本人として「文字を書く」ということの大切さについても、40歳の節目でしっかりと考えていくべきテーマだと思います。

 人生の折り返し地点を迎えた40代にとって、「書く力」もこれからますます社会から求められるはずです。

 近年はチャットGPTのような生成AIが浸透していますので、「別に自分で書かなくてもいいじゃないか」と考えている人も中にはいるかもしれません。あるいは、書かなくていいとまで言わなくても「上手に書けなくたっていいでしょ」という人は多いのではないでしょうか。

 しかし、それは「考える」という作業を人間が放棄することを意味しています。考え続けるということは、人間の知的活動で欠くべからざる重要な作業です。

 パスカルは自身の思想をまとめた『パンセ』の中で、「人間は自然のうちでもっとも弱い1本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」と言っています。