組織は分業制が前提
縁の下の力持ちになれるか?

 語学にたけていたり特殊な資格を持っていたり、高い専門性のあるスキルを持っているからといって、無条件に飛びつくのは正しい採用活動とは言えません。というのも、組織である以上、分業制を前提としているので、職場内の人間関係や部署間の連携が特に重要です。

 集団の中で機能できないと思われる人材は面接で見極めなければならないのです。逆に、縁の下の力持ちになってくれそうな人は魅力的に映ります。

 そういう意味では、「部下や同僚として一緒に働ける人」というのが最大公約数の採用基準と言えるでしょう。いくら能力やスキルが高い人材でも、配属した途端に、現場の部署から「使えない」という声が上がることは採用責任者として避けたいところです。

「○○大学の何年入社組の採用責任者は××であると」と背番号がついて回るケースもあります。これは採用責任者にとってなかなかのプレッシャーでしょう。

 面接にやってきた学生も当然、少しでもデキる人間であると思わせようと手を尽くします。いつも以上に良い人柄をアピールしょうとします。そのため人が人を評価するのは難しいわけで、まして世代の異なる初対面の相手となればなおさらでしょう。

 また、最初は地味で内向的な人かと第一印象を抱いても、対話を続けているうちに、魅力的な表情が表れてきて、実は非常に思慮深く、聡明な人物であることが浮き彫りになるケースもあります。

 率直に言えば、採用の時点で、人が将来どのように成長していくかを明確に見定めることはできません。そういう意味では、良い意味でも悪い意味でも採用ミスは避けられません。短時間の数回の面接では限界があるのです。その中で採用可否を決めているのが実態です。